溶射材料 サーメット

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セラミック

 

 溶射に使用されるセラミックスは、粉末、ロッド(セラミック粉末を焼結し棒状にしたもの)、フレキシブルコード(セラミック粉末を有機物チューブに充填したもの)の三種類です。
使用されるセラミックは一般的に酸化物系のセラミックスで、炭化物、ホウ化物、窒化物は高温まで加熱するとその多くが分解、昇華してしまうため溶射は困難です。また、酸化物でも蒸気圧の高いSiO2やMgOは成膜が困難ですが、Al2O3とアロイ化することによって成膜が可能になります。

アルミナ(Al2O3)
一般にホワイトアルミナと呼ばれる白色のセラミック。耐摩耗、電気絶縁性に優れており、融点は2050℃で800℃程度までの使用に耐えられます。純度は約99.6%から高純度品の99.9%まであります。溶射皮膜の硬度は約900(Hv)あります。
用途は耐摩耗部品、電気絶縁部品などがありますが、高純度のアルミナは半導体製造装置に多く使用されています。

グレーアルミナ(Al2O3-2.5%TiO2)
アルミナに少量のチタニアを含む灰色のセラミック。ホワイトアルミナと比較すると靭性がよくなりますが、熱的性質は若干落ちます。融点は2010℃。溶射皮膜の硬度は約900(Hv)あります。
用途は耐摩耗用に使用され、ホットプレート、製紙用ロール、繊維用部品(糸道)などに使用されています。

アルミナ-チタニア(Al2O3-13、20、40%TiO2)
アルミナにチタニアを含むセラミック。溶射皮膜は黒色になります。アルミナよりも低融点で、Al2O3-13%TiO2で約2000℃、Al2O3-40%TiO2で約1850℃です。使用環境は540℃以下が適しています。溶射がしやすく、緻密な皮膜が得られます。アルミナまたはチタニア単体の皮膜よりも良好な耐摩耗性を示します。溶射皮膜の硬度はAl2O3-40%TiO2で約700(Hv)あります。
用途は繊維などのガイドロール、ロータリーディスク、磁気ヘッド、ポンプ部品などがあります。

チタニア(TiO2)
二酸化チタンとも呼ばれます。融点が1843℃と比較的低いことから、溶射による溶融が良好で、緻密な皮膜が得られます。熱濃硫酸やアルカリ以外には不溶なので、科学的な耐食性に優れています。また、電気伝導性も良好です。耐摩耗を目的とする場合は500℃以下での使用に適しています。溶射皮膜の硬度は約600(Hv)あります。
用途はケミカルタンク、静電気を嫌う摺動部部品などがあります。また、アナターゼ型のTiO2は優れた光触媒特性を示します。

ムライト(3Al2O3-2SiO2)
Al2O3とSiO2が3対2で化合したセラミック。融点は1934℃で、高温の安定性に優れ、酸化物としては熱膨張率が低く、耐熱衝撃性に優れています。また、熱伝導率、誘電率が低く、遠赤外線放射特性が良好です。
用途は遠赤外線用部品、セラミックスの中間層(密着強度が増し、熱安定性が良くなる)などがあります。

スピネル(Al2O3-26%MgO)
Al2O3とMgOの複酸化物です。融点は2135℃で、耐摩耗性、耐溶融ガラス性、耐スポーリング性(熱衝撃破損抵抗)に優れています。
用途は代表的なものに酸素センサーがあり、自動車の排気ガスから白金電極の保護膜として使われています。その他には、鉄鋼、焼結炉に実績があります。

ジルコニア(ZrO2)
融点が2720℃のZrO2は約1170℃、2367℃で相変態を起すので、単体では殆ど使用されません。安定化剤としてCaO、MgO、Y2O3などを添加して固溶させます。高融点で熱伝導率が低く、酸化物としては熱膨張率が大きい部類に入ります。
用途は高温耐熱部材の断熱皮膜として航空機用エンジン、ガスタービンの燃焼器などがあります。
具体的にはMCrAlYを下地に、トップコートにZrO2-Y2O3やZrO2-MgOを溶射して熱遮断皮膜(TBC)として1500〜1600℃の燃焼炎からの輻射熱を防止しています。

クロミア(Cr2O3)
クロミアは酸化クロムともいいます。融点は1990℃で使用限界温度は540℃くらいです。溶射皮膜の硬度は約1000(Hv)あり、緻密で耐食性、耐薬品性、耐摺動摩耗性、耐キャビテーション・エロージョン性に優れています。
用途はメカニカルシール、繊維のガイドロール、印刷用ロール、攪拌機などがあります。
ただし、溶射時にヒュームが酸化され有毒の6価クロムが発生する場合があるので注意が必要です。

イットリア(Y2O3)
希土類酸化物の中で最も融点が高く、2432℃です。化学的に非常に安定し、耐プラズマエロージョン性に優れています。
用途はジルコニアの安定化剤として使われますが、溶射皮膜としては、活性金属の溶解用坩堝や、高純度のイットリアは、耐プラズマエロージョン性を活かし半導体パーツに使用されています。

その他のセラミックス
燃焼用触媒としてのセリア(CeO2)、高誘電率特性をもつチタン酸バリウム(BaTiO3)などの酸化物や、 高温自己潤滑性があるフッ化カルシウム(CaF2)などがあります。

 
 
 
 
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