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特殊エンジニアリングプラスチック

 

 

 特殊エンジニアリングプラスチックは、汎用エンジニアリングプラスチックよりも更に特殊な性能を持つ熱可塑性樹脂のことをいいます。このような材料は、使用量は少ないですが、高温にさらされる可能性のある電気絶縁材料や機械部品のような特殊な分野に使用されています。ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)などがあります。

 PSF

ポリサルホン(PSF)は、透明なプラスチックで、低温から高温まで広い温度域で安定した物性を保持し、酸・アルカリに高い耐性を持ち、長期耐加水分解性に優れた特性を持っています。しかし、ケトン類、エステル類、塩素系有機溶剤などには侵されます。ガラス繊維強化グレード、高剛性グレード、導電性グレードなどもあります。
用途は食品安全性が高いことから、食品、医療分野での採用が増えており、住宅用配管継手、電子レンジ用食品容器、哺乳瓶、酪農機械、滅菌箱、コンタクトレンズ消毒ケース、歯科用機器などがあります。その他には電気・電子分野のプリント基板、電子レンジ部品や、自動車分野ではオートヒューズ、ダイナモ部品、バッテリキャップなどがあります。 

 PES

ポリエーテルサルホン(PES)は、耐熱性が熱可塑性樹脂の中ではトップクラスに属し、幅広い温度域での使用が可能です。耐衝撃性、耐熱水性、電気的性質は良好で、アルコール、ガソリン、酸、アルカリ、油類、グリスなどに耐性もありますが、ケトン類、エステル類などの溶剤には侵されます。
用途は電子部品分野ではコイルボビン、スイッチ、プリント基板など、OA・AV機器部品分野では軸受、ギア、ガイドなどに使用されています。また、PSF同様に食品、医療分野での使用もあり、電子レンジ用容器、耐熱食器、注射器などにも使用されています。フィルムとしてカード電卓、携帯電話、電子手帳のLCD基板などにも使用されています。

 PPS

ポリフェニレンサルファイド(PPS)はポリフェニレンスルフィドともいい、重合の方法によって、架橋型、半架橋型、直鎖型に分けられます。架橋型は直鎖型に比べ弾性率が高いものの靭性に劣ります。色は茶褐色で着色は出来ません。直鎖型は、伸びが大きく靭性は良くなります。色は淡色なので着色が可能です。
PPSの特徴は、耐熱劣化特性が良好で、耐有機溶剤性も優れています。200℃以下でPPSを溶解する溶剤はありません。誘電特性、絶縁特性は広い温度域、周波数で安定している難燃性の樹脂です。
用途は自動車分野では電装部品、エンジン回り部品、証明関連部品があり、電気・電子分野ではパソコンや携帯電話の部品に使われています。その他ではOA機器のギアや、家電分野ではCD・MDのシャーシ、ヘッドマウント、一般機器ではシャワー水栓、キッチン水栓など水回り部品に使用されています。

 PAR

ポリアリレート(PAR)は透明で耐熱性の高いプラスチックですが、耐熱性、耐薬品性を向上させるためのPETとのアロイグレードや、成形加工性、耐衝撃性を改良したPCとのアロイグレードがあります。
基本グレードの特徴は、PCと同等程度の透明性があり、力学的性質の温度依存性は小さく、クリープ変形も少ないです。耐寒性、耐熱劣化性にも優れています。しかし、耐有機溶剤性、耐熱水性、耐アルカリ性は良くありません。
用途は自動車分野では、各種レンズ、室内灯用リフレクタなどに使われ、電気・電子分野では、各種スイッチ、電子レンジのフックやパネル回りに使われています。それ以外にも、精密機器分野ではカメラや時計の部品に、医薬品分野で目薬容器・検査薬容器に使われています。

 PI

ポリイミド(PI)は、全芳香族ポリイミド、半芳香族ポリイミド、熱硬化性ポリイミドに分類されます。
耐熱性が非常に高く、対熱劣化性にも優れている難燃性の樹脂です。熱膨張率が小さいので寸法安定性が良好です。耐薬品性も良いですが、強酸・強アルカリには弱いです。吸水性は大きいのですが耐熱水性です。電気的性質は優れており、安定した誘電特性があります。
用途はプリント基板、絶縁材料、軸受け、耐熱ICトレイ、ジェットエンジン部品などがあります。

 PAI

ポリアミドイミド(PAI)はPIの耐熱性をやや犠牲にして成形性を良くしたものです。力学的性質、耐熱性が優れていますが、それ以上に高剛性をもつガラス繊維、カーボン繊維の複合化グレードなどがあります。
代表グレードの特徴は使用可能温度範囲が-200〜260℃と広く、耐熱劣化性も優れています。また、寸法安定性もあり、耐薬品性に優れていますが、強アルカリ、飽和水蒸気、高濃度の混酸には侵されます。絶縁性に優れ、耐紫外線、耐放射線性にも優れている難燃性の樹脂です。
用途は産業機械分野でバルブシート、油圧器シール、ピストンリング、ローラ、カム、ギアなどがあり、電気・電子分野ではリレー、ソケット、スイッチ、コネクタなどがあります。自動車分野ではシールリング、ギア、ベアリング、エンジン部品など、航空宇宙分野ではジェット部品、ポンプ部品などがあります。

 PEI

ポリエーテルイミド(PEI)はPIよりも成形加工性を重視したプラスチックです。高性能、高機能化のために複合化されたガラス繊維、無機充填材による高剛性、低そりグレードや、ふっ素樹脂添加による摩擦摩耗特性向上グレード、導電材を使用する帯電防止性付与グレードなどがあります。
耐熱劣化特性、耐候性、難燃性に優れています。耐薬品性も良好ですが、極性溶剤(塩素系脂肪族炭化水素)に侵されます。電気的性質は広い温度域、周波数域で安定していますが、誘電特性は他の樹脂と比較すると良いとはいえません。
用途は電気・電子分野が多く、コイル、ボビン、スイッチ、コネクタなどに使用されています。それ以外にはOA機器分野でコピー機の部品や、自動車分野でのエンジン部品、キャブレータ部品へ使用されています。

 PEEK

ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は耐熱性が熱可塑性樹脂の中で最高クラスのプラスチックで、他樹脂の改質やパウダーコーティングなどにも使用されています。
有機溶剤性はよく、濃硫酸には溶解され濃硝酸にも侵されますが、その他の酸、アルカリには高温でも侵されません。耐熱水性、電気絶縁性も良好です。耐放射線性が最も優れているプラスチックです。
用途は半導体、液晶ガラス基板の製造工程や、自動車分野での金属材料の代替として使用されています。OA機器分野ではコピー機の分離爪、軸受、ギアなどに使われており、その他には軍事用、原子力用等の特殊電線ケーブル被覆にも使用されています。

 LCP

液晶ポリマー(液晶ポリエステル:LCP)はサーモトロピックタイプ(加熱溶融したとき液晶になるもの)とライオトロピックタイプ(溶媒の存在下で液晶になるもの)に大別されます。射出成形に使用されるのは、サーモトロピックタイプの芳香族系(ベンゼンに代表される環状構造を持つもの)ポリエステルで、従来は荷重たわみ温度でT型(270℃以上)、U型(230~270℃)、V型(230℃以下)と分類されていましたが、グレードの開発が進み、耐熱性・流動性等の種類が多くなっています。
異方性が大きく、流れ方向の力学的性質の値は大きくなりますが、流れと直角方向の値は小さくなります。異方性の影響は熱膨張率にも現れます。その他、耐熱劣化性、はんだ耐熱性、電気的性質、耐候性、耐有機溶剤性、耐薬品性は良好ですが、強酸・強アルカリには侵されます。また、ポリステルなので耐熱水性はよくありません。
用途は電子部品分野が非常に多く、コネクタ、リレー部品、コイルボビン、スイッチ、ソケットなどがあります。他にはOA機器分野でプリンタのワイヤドットガイド、インクジェットノズルや、コピー機の分離爪、軸受にも使用されています。また、非射出分野としての繊維、フィルムがありますが、ネット、ロープ、スポーツ用品などに使用されています。

 
 
 
 
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